ヒットのヒント~エアバッグを急速に普及させた『ある商品の技術』とは?

【問題】

ご存知のように、現在「エアバッグ」は、ほとんどの車に装備されています。

しかし、当初はとてもコストがかかる技術でした。

現在のように普及したのは、まったくジャンルの違う分野の

「ある商品技術」を応用できたからです

さて、その「商品」とは何でしょう?

というのが今回の問題です。

 

ヒントです

エアバッグに求められる「条件」とは?

・普段は絶対に作動してはいけません。走行中だと運転ができなくなり、事故になります。

・当然ですが、万一の場合は、瞬時に、しかも確実に作動しないといけません。

 

今月も、1分間だけ考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

車の運転席

 

 

 

 

 

【答え】

なんと「手榴弾」です。

「確実な作動」において、兵器ほどそのスペックを要求されるものはありません。

(皮肉なことに、「戦争」は一部の技術を進化させるのですね)

 

手榴弾を作っていたのは、アメリカのブリード社。

それまで、エアバッグは1台あたり600ドルもかかり、

一部の高級車にしか装備できませんでした。

それが、ブリードの技術のおかげで

1台あたり、50ドルまで下がったのです!

 

ただ、話は簡単に進んだわけではありません。

ブリードは、当初GM、フォード、クライスラー(いわゆる「ビッグ3」)など

自国アメリカのメーカーに話を持ちかけましたが

ことごとく相手にされませんでした。

 

ところがここで、我が日本のメーカー・トヨタが動きました!

トヨタは、他のメーカーに先駆けてこの技術を導入。

いち早く「エアバッグ標準装備」を実現できたのです。

そして現在、「エアバッグ」は多くのメーカーで採用されています。

 

さあ、あなたは、このお話を読まれて、

どんな感想をお持ちになったでしょうか?

筆者(当社社長)が感じたポイントは、以下の2点です

 

【筆者の感じたポイント】

1、自分の会社や、お店が抱えている問題は

ひょっとすると、今まで全く接点のなかった業界の

技術や知識で、「あっさりと」解決できる可能性がある。

 

2、同様に、自分の会社やお店が持っている商品・知識が

全く違う分野の問題解決に役立つ可能性がある。

 

どちらも

・日頃から、いろいろな人や組織と関係性をどうやって構築・維持するか

・「使い方のアイデア」をどう具体的にイメージする(させる)ことができるか

そこが重要ですね。

 

さて、ここで終わりでもいいのですが・・・もう少しお付き合いください。

 

筆者(当社社長)は

「なぜ当初、ブリードは車メーカーに相手にされなかったのか?」

が、すごく気になりました。

ブリードも、全く畑違いの業界への売り込みをするのだし、

まして「兵器メーカー」という物騒な会社ですから

十分な準備の上で望んだはずなのに、当初、受け入れられませんでした。

なぜでしょうか?

この事実は、ある意味、「ブリード+トヨタ」の成功談以上に

注目すべきポイントではないかと思うのです。

そこで、この事柄に関する情報をいろいろなところから集め、

自分なりにまとめてみました。(一部、推測も交えた分析であることをご了承ください)

 

【採用されなかった理由1 →「ビッグ3」のプライドが提案を拒絶した】

・「ビッグ3」も、共同で独自にエアバッグの開発を進めており、それにこだわりたかった。

→他の技術に乗り換えると、今までの開発費(約10億ドル!)が無駄になってしまう。

→他社の技術を採用するのは、「技術レベルでの敗北」を意味する。

【採用されなかった理由2 →市場の反応は低いと評価した」

・重要な市場・アメリカでは、当時(あるいは今でも)

エアバッグの需要が少ないという判断が大勢を占めていた。

→国土が広く、都市部を除き細かい道が少ないので事故に対する意識が低い。

→後年、フォードが安全性を売りにしてエアバッグ装備の「ファルコン」を売り出したら

「GMはクルマを売ってる、フォードは安全を売ってる」と揶揄されたという。

→ホンダも、エアバッグの研究開発を進めていたが、「アメリカでは売れない」との判断などで

計画が打ち切りになる危機が度々あった。

【採用されなかった理由3 →安全性への不安を懸念した」

→「作動しない」「暴発する」という不安が完全になくなったわけではない

(実際に最近でも、タカタ製エアバッグが原因と思われる死亡事故が世界で5件、

負傷事故が100件以上報告されている。飛び散った破片が人体を殺傷したり、

あるいは引火の引き金になっているらしい。)

→ホンダでは当時、エアバッグを膨張させるのに使う「窒化ナトリウム」が

日本国内では危険物として火薬取締法に抵触するため、テストができなかった。

(技術の進化に対して、法律など周辺環境の整備が必要な場合もある)

 

 

【まとめ】

いかがでしょう?

思った以上に、いろいろな「さまたげる理由」が出てきましたね。

「イノベーションの革新」というのは、このような多くの困難をクリアすることにほかなりません。

しかし結果は、「ビッグ3」の開発費は10億ドル、

かたやブリードは、その2500分の1である40万ドルで、実用的なエアバッグを開発できたのです!

ただ、私たちは「結果」を知った上で、このことを評価する立場にいます。

あなたは当時の「ビッグ3」の担当者だったら、ゴーサインを出せたでしょうか?

そう思うとあらためて、「トヨタが採用した」という事実の裏側には、

トヨタ担当者・経営陣の相当の覚悟が必要だったのだな、と思えるのです。

 

今回、

「手榴弾の技術が、車のエアバッグの普及に大きく貢献した」

という情報をお届けしましたが、

着想がどれほど意外でも、ただ突飛なだけではありませんでしたね。

その根底には必ず「非常に明確な、論理的根拠」がありました。

もちろん、その他に環境、あるいは運などの要素があることも事実ですが

それらに柔軟に対応しつつ、根本のところでブレないようにするには

相当の信念と、明確な論拠が必要だというのが、今回の結論です。

常に、そういうものを探し、考える、といった姿勢を

持ち続けていきたいものです。

(2015.6.23)

 

 

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